私はよく夢をみる。ほぼ毎日といっていい。眠りにはいる直前にマブタに浮かぶ映像もある。それらの夢や白昼夢は色彩にあふれ、あまりに現実的で幻想の域を超えている。例えば黄昏に風景や自分の指先までも輪郭が曖昧になり、すべての境界線が不明瞭になることがある。それは夕方に限らず明け方にも真昼にもあるのだが、そんな時、私の輪郭もぼやけ何かが感覚の隙間に入りこんでくる。いとおしい良い香りのようなもの。私はいつも境界線に立っている。幻想と現実のはざまにいて遠くを見ている。

 実際私の絵は私自身のカケラであるし、予感を含んだ刹那的な空気が私を通して絵になってゆくのだ。そう、いわば私は幻燈機です。

 

 木版画家 風鈴丸(ふうりんまる)